「詳細 日本のがん統計」小児がん版を世界に向け発信!
確かで効率の高い小児がん治療開発を目指し、日本の小児がん情報を世界で共有。日本語ページ、勿論、あります。
国際小児がんデー 2016
この35年間に小児に発生する血液腫瘍および固形腫瘍の治癒率は劇的に改善され、今日、急性リンパ性白血病の無病5年生存率は80%以上にまで改善されてきています。ユーイング肉腫、横紋筋肉腫や骨肉腫においては1/2から2/3の小児患者が外科手術、放射線療法および多剤併用化学療法による積極的治療後、長期無病生存を維持しています。
しかし、小児の死亡率順位においては已然上位に位置し、小死亡「病因」では一番ととなる疾病であるにも拘わらず、罹患数が極めて少ない疾病であることから、がん治療薬開発のなかで試験される薬剤は相対的に少なく、1980年から2003年の間に成人がん適応が承認された薬剤が50以上であるのに対し、この間、小児適応が添付文書に記載されたものはわずかテニポシドだけでした。
この背景には、大腸、肺、乳房などの成人がんに特異的活性を持つ新規抗腫瘍薬剤の選択を焦点としたスクリーニング戦略のように、小児悪性腫瘍に特異活性をもつ薬剤を同定できずにいることです。
さらに薬剤開発における障害として、小児がんの多くは、確立された薬に対し反応することです。相当数の患者の治療が当てはまります。この反応性が、倫理的に「実験的薬剤」の使用を避けることになってしまいます。この10年の間、診断時に転移腫瘍とされた患者の生存率は全くと言って良いほど僅かに改善されているに過ぎません。転移性および再発性小児固形腫瘍における生存率は現在もなお30%程度に留まります。
近年、成人がんに対する画期的標的治療薬や標的免疫療法が開発され、生存率の改善に留まらず、社会復帰率も改善できる時代を迎えつつあると考えられます。成人がん治療薬の開発成果は小児がん治療薬となる標的分子の探索に反映され、この数年の間、遺伝子をテーマとする研究数が急激に増大しています。
小児がん治療プロトコールが改善され、相対的に生存率が改善された時代を迎えた今日もなお、新しい治療薬を必要とする子どもたちが世界にいます。飲めば治って当たりまえ、となる画期的小児がん治療薬が、「小児がん」を治癒するための医薬品として今後さらに研究・開発される時代となるよう、世界一丸となり、皆で頑張りましょう。
 
 
(2016年2月14日掲載)
 
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